投資系ユーチューバーさん達の動画でも取り上げられることが多くなった【DGRW】。
私がよく見ている投資系のチャンネルでも高い評価を得ているように感じます。
【DGRW】良さそうなETFで気になるわぁ…
そして、まだそこまで有名ではないため、持っていると「ちょっと俺投資詳しいぜ!」的なところもアピールできるかもしれない。
が、そんなことを話せる投資友達は現実世界にはいない…。
投資している人自体がいない…。
たぶん、【DGRW】というワードを実際に誰かに口にしたことはない…。
そもそも運用会社のウィズダムツリー社とは
一般的には時価総額加重を採用しているファンドが多い中、ファンダメンタル加重という独自の考えをもってETFを開発しており、ETFに特化した運用会社として米国市場に上場している唯一の会社だそうです。
ファンダメンタル加重の良さを要約すると「株価はいろんな理由で本源的な価値から乖離しているので、時価総額加重だけではなく、配当や収益などといったファンダメンタルズに基づいて株式市場を再度加重することが、長期的により良いトータルリターンを獲得するのに有効!」みたいな感じ。
ETFのラインナップを見る限り、ヴァンガード社などと比べ、経費率はやや高い傾向にはありますが、独自の指数は独創的で価値のあるものに感じます。
にわか投資家である私でも一度は耳にしたことがあるジェレミー・シーゲル教授がアドバイザーとして所属し、知らんけどマイケル・スタインハルトという人が会長ということからも、たぶんすごい会社ということで良いと思います。
【DGRW】の基本情報
名称:ウィズダムツリー クオリティ配当成長ファンド【DGRW】
その名の通り、ウィズダムツリー社が運用している企業の質(クオリティ)の部分にこだわり、配当が成長しているような銘柄を厳選したファンド。
【DGRS】ウィズダムツリー米国小型株クオリティ配当成長ファンドっていう小型株バージョンもあるみたいなので、【DGRW】は大型株ってことで良いと思います。
連動指数:ウィズダムツリー米国クオリティ配当成長インデックス
ウィズダムツリー社の独自の指数で、ROE・ROA・利益成長が優良で、かつ時価総額が少なくとも20億ドル以上の上位300銘柄からピックアップし、銘柄を構成。
それらの構成銘柄を直近の1株当たりの配当に基づく配当加重で算出。
約300銘柄という銘柄数は十分分散が利いていると言えます。
なんだかすごく良さそうな指数ではありますが、果たして一般的な時価総額加重平均よりも優れているのでしょうか?
信託報酬
銘柄 | DGRW | VIG | VOO(ベンチマーク) |
信託報酬 | 0.28% | 0.06% | 0.03% |
【DGRW】の信託報酬は年率0.28%(税抜)となります。
【VIG】と比べるとだいぶ高く感じますが、そもそも【VIG】の0.06%という信託報酬が安すぎるだけと言えなくもない。
【VOO】なんて0.03%…って話が反れるので止めます。
【VOO】はあくまでベンチマークで、本題は【DGRW】と直接比較対象の【VIG】。
個人的に【DGRW】は0.28%の信託報酬を払うに値するETFだと思いますが、信託報酬分はその分パフォーマンスが削られることが確定なわけですから、軽視するのも違うかなとは思います。
純資産総額
銘柄 | DGRW | VIG | VOO(ベンチマーク) |
純資産総額 | 86億ドル | 657億ドル | 2,977億ドル |
設定日 | 2013年 | 2006年 | 2010年 |
【DGRW】の純資産総額は約84億ドル程度となります。
増配系ETFのトップと言っても良い【VIG】に並ぶのはなかなか難しいでしょうが、そこそこの規模感はあります。
日本ではまだそこまで有名なETFではありませんが、世界では私が想像していたよりも人気はありそうです。
配当回数
銘柄 | DGRW | VIG | VOO(ベンチマーク) |
配当回数 | 年12回 | 年4回 | 年4回 |
高配当好きの投資家さん達には激熱の毎月配当、年12回。
【VIG】は年4回。
配当なんて都度税金がかかってくるのだから「出ない方が良い」といった配当有無の議論は置いておいて、毎月配当のETF自体少ないため、毎月配当ということ自体は【DGRW】のメリットとして捉えてよいと思います。
私も以前は「キャピタル命!配当なんて出してくれるな!」と思っていましたが、歳を取り、あまたの下落局面に直面してメンタルをやられながら、「やっぱ配当って素敵やん。」と考え方が徐々に変わってきました。
配当は素晴らしい!投資はメンタル!
配当利回り
銘柄 | DGRW | VIG | VOO |
配当利回り | 2.09% | 1.96% | 1.57% |
以下の表は【DGRW】の過去5年間の配当利回り推移。
1.75%~2.75%あたりで推移しています。
以下の表は【VIG】の過去5年間の配当利回り推移。
1.50%~2.25%あたりで推移しています。
若干【DGRW】の方が【VIG】よりも高い利回りで推移しているように見えます。
現状【DGRW】配当利回りは2%程度と決して高いとは言えませんが、配当金の推移をバックテストによる視覚的なグラフで見るとよりすごさがわかります。
青【DGRW】赤【VIG】黄【VOO】
【VIG】も着実で見事な右肩上がりですが、【DGRW】の伸びは半端ないです。
2018年に大きく増配してから、その後一気にまくった感じです。
増配率
銘柄 | DGRW | VIG | VOO(ベンチマーク) |
増配率(3年平均) | 9.37% | 13.00% | 4.61% |
増配率(5年平均) | 12.31% | 9.87% | 6.36% |
増配率(10年平均) | – | 7.82% | 7.52% |
まず目につくのが【VIG】の3年増配率13%。
2021年のベンチマーク変更が影響したのかはわかりませんが、伸びが加速しています。
そして【DGRW】の5年増配率12.31%…。
見事すぎる増配率です。
Yield On Cost(過去に買った株は現在利回り何%になっているか、みたいな)
銘柄 | DGRW | VIG | VOO(ベンチマーク) |
YOC(10年) | 5.32% | 4.41% | 4.00% |
以下のグラフは【DGRW】のYOC。
10年YOCは5.32%となりますので、現在2%前後の配当利回りですが、10年前に買って現在まで持ち続けていたら5.32%になっていたというわけです。
以下のグラフは【VIG】のYOC。
10年YOCは4.41%となります。
以下のグラフは【VOO】のYOC。
10年YOCは4.00%となります。
目立ちませんが【VOO】も着実に増配しています。
トータルリターン(配当込み)
【DGRW】の設定日2013年から現在までの配当再投資した際のトータルリターンの比較。
どの期間を切取るかで結果が変わってきますので、この結果がすべてではありませんが、なんと【VIG】【VOO】を抑えて【DGRW】がトップ。
以下では中身を深堀していきます。
トータルリターンの深堀
一応、各項目順位付けするとわかりやすいかなと思いましたので、1位~3位まで付けてまとめた結果がこれ。
1位 | 2位 | 3位 | |
【DGRW】 | 5項目 | 2項目 | 1項目 |
【VIG】 | 2項目 | 5項目 | 1項目 |
【VOO】 | 1項目 | 0項目 | 6項目 |
これだけ見ると圧倒的に【DGRW】が良さそうですが、以下解説。
Final Balance(配当再投資後のトータルリターン)
2014年に1万ドルを一括投資していたら、現在トータルリターンは①位【DGRW】27,727ドル②位【VOO】26,824ドル③【VIG】25,185ドル となるようです。
すごく良い勝負ですが、【DGRW】がトップ。
続いて【VOO】【VIG】の順。
CAGR(年平均成長率)の順位はFinal Balanceと同じになると思いますので飛ばしてあります。
Stdev(標準偏差)
標準偏差の値が大きいほど潜在的な価格変動リスクが高いことになるため、一般的に低い方が良いということですが、これは【VIG】がトップ。
続いて【DGRW】【VOO】の順。
【VIG】の防御力の強さが見て取れます。
Best Year(最も良かった一年の成長率)
ベストイヤー1位は【VOO】。
続いて【VIG】【DGRW】。
やっぱり【VOO】は一撃の攻撃力高めです。
Worst Year(最も悪かった1年の成長率)
ワーストイヤー1位は【DGRW】。
ちょっとわかりにくいですが、最も悪かった1年の成長率が最も良かったのが【DGRW】。
マイナスが少ないってことです。
この項目については【DGRW】の防御力の強さ(-6.34%)が際立っているのと、【VIG】もなかなかの防御力(-9.81%)。
【VOO】については断トツの悪さ(-18.19%)。
【VOO】に関しては、今回ベンチマークなのでわき役ではあるものの、負ける年は断トツで負けたってことのようです。
Max Drawdown(一時的に最大資産から落ち込んだ下落率)
【DGRW】【VIG】【VOO】の順。
ここら辺まで来るとだいたい予想ができます。
ワーストイヤーほど大きな差はありませんが、ここでも【DGRW】の防御力の強さが垣間見れます。
続いて【VIG】【VOO】の順。
Sharpe Ratio(運用効率)
数値が高い方が効率的に運用できていると言えるシャープレシオですが、この項目でもまたもや1位の【DGRW】。
続いて【VIG】【VOO】の順。
今のところ、攻撃力も防御力もあるオールラウンダー的印象の【DGRW】。
Sortino Ratio(下落時の運用効率)
株価下落時の運用効率を測るソルティノレシオも1位は【DGRW】。
続いて【VIG】【VOO】の順。
もはや予想通り。
Market Correlation(相関係数)
これについては、米国市場の規準となるS&P500に連動したVOOが1.00で3位になるのは当たり前ですし、順位をつけるのが正しいのかはわかりませんが、相関係数が低い方が分散という観点から良いのではないかと思い順位を付けました。ごくわずかな差で【VIG】の方が相関係数が低く1位。
セクター構成
情報技術セクター
3ETFとも情報技術セクターが断トツとなります。
株価を引き上げるにはもはや必須セクターといえますが、【DGRW】はなんと29.42%と約30%近くを占めています。
【VOO】も26.42%と高いですが、【DGRW】はそれをも上回っています。
【VIG】も20.70%と構成比の中では1位となっているものの、やや他セクターとのバランスをとっているようにも見えます。
生活必需品セクター
【DGRW】のETF内構成比2位は生活必需品セクター。
17.38%とこちらも非常に高い構成比。
【VIG】12.44%、【VOO】7.32%とそれなりに高い構成比とはなっているものの、順位は5位、7位とETF内の順位は高くありません。
【DGRW】は情報技術と生活必需品の2セクターでETF全体の46.8%を占めています。
【DGRW】の攻撃力と防御力の絶妙なバランスはこの2セクターが作り出しているといってよさそうです。
金融セクター
【VIG】のETF内構成比2位は金融。
17.90%と高い構成比率となっていますが、連続増配10年という縛りがありますし、時価総額加重平均ですので機械的に金融の比率が高くなるのだと推察されます。
【DGRW】11.83%の5位、【VOO】12.59%の3位と高めの比率ではあるものの、【VIG】が特出して高いです。
その他セクター
【DGRW】のETF内のセクター順位3位以降は、資本財、ヘルスケア、金融と続き、【VIG】はヘルスケア、資本財、生活必需品と続きます。
構成比比率やETF内の順位は違うものの、【DGRW】と【VIG】の上位セクター比率は概ね似ていると言えるのではないかと思います。
ともに増配、配当にフォーカス焦点をあてているETFなので、当たり前といえば当たり前ではあります。
ただ、気になるのは【DGRW】のETF内7位以下の素材セクター以下が合計5%みも満たないところ。
【VIG】【VOO】は、下位セクターもある程度の比率で分散が利いています。
このあたりも【DGRW】の尖り具合を物語っています。
組入銘柄トップ10
被っている銘柄は左に色を付けてあります。
まず、【DGRW】【VIG】の組入銘柄1位、2はともにマイクロソフト、アップル。
【VOO】もマイクロソフト、アップルが上位2銘柄となりますが、順番が逆で、アップル→マイクロソフトとなります。
【DGRW】は上位2銘柄で14.88%、【VOO】は13.77%、【VIG】は8.93%と、改めて【DGRW】は尖っています。
【VOO】も上位2銘柄の偏りきつめ。
組入比率上位10銘柄とはいえ、【DGRW】と【VIG】は10銘柄中5銘柄が被っており、この辺からも【DGRW】と【VIG】の方向性は近いと言えると思います。
メリット・デメリットのまとめ
↑【DGRW】は増配系ETFとして申し分のない結果を残しており、【VIG】と並び称されても良いレベル。
↑攻撃力・防御力ともに持ち合わせたオールラウンドETF。
↑設定来約10年トータルリターンの実績は【VIG】はおろか、【VOO】にも勝っており、素晴らしい結果と言える。
↑毎月分配は人によっては大きなメリット。
↓信託報酬が0.28%と、【VIG】0.06%と比べると明らかに高い。
↓純資産総額も問題ないレベルだが、【VIG】【VOO】と比べると少し寂しい。
↓設定来約10年という運用期間も短いと感じる人もいると思う。
↓セクターでは情報技術、個別ではマイクロソフトへの依存度が高い。
結論
増配系ETFの代表格【VIG】を抑えてまで買え!とまでは言わないが、【VIG】の代わりに買っても良いレベルのETF。
投資は自己責任。かっこ悪いから人のせいにはするなよ。またな!
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